淋病とは、比較的有名な性感染症の一種でありながら、実際どんな症状なのかを把握している人が少ない病気ではないでしょうか?
まず淋病の特徴は「男性」のほうが症状がわかりやすく(自覚症状が出やすい)、「女性」のほうが症状を感じにくい(自覚症状が出にくい)という特徴があります。
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厚生労働省 性感染症報告数 2004~2019
「年齢(5歳階級)別にみた性感染症(STD)
報告数の年次推移」よりこのように厚生労働省の観測データでも女性の方の報告数が少ないのが実情です。
しかし実際女性でも病状が悪化すると症状が出て、最終的に不妊症になってしまうこともあります。 -
症状
男性の場合は、感染後1週間程度でおしっこをするときに痛みを感じたり、尿道口から膿が出てきます(急性尿道炎)。症状が強い場合には亀頭が赤く腫れてきます。このまま放置していると、前立腺炎や精巣にまで感染が広がってしまい、最悪の場合男性不妊症になってしまうこともあります。しかし一部の男性ではほとんど症状が見られないため、「症状がないから安心」ではなく一度は検査されることをオススメいたします。
女性の場合はおりものの増加、子宮からの出血が見られることがおおいですが、女性の場合は男性ほど明らかな症状と言い難く気づかず病状が進行してしまったり、感染を拡大させてしまったりするケースが多いといえます。特に体調が悪い時に病状が進行し、子宮から卵巣・卵管に感染し、気づいたときには不妊症になっているというケースもあります。また妊婦が感染していると出産時に子供に感染し、新生児結膜炎という病気を発症してしまうこともあります。
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感染経路
主にセックスでの感染が多いものですが、フェラチオ・クンニリングスのような「口」を使った行為によって喉に感染することもあります。淋菌そのものが空気中で残存しづらいため、空気感染や接触程度での感染はあまり考えられません。逆に感染している人との粘膜的な接触から感染する確率は高く、コンドームを使用しない膣性交1回で20%ともいわれています。
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最後に
淋病そのものにもリスクがありますが、淋病を患っている方(無症状の方も含めて)はクラミジア感染症・梅毒・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している確率も高く、その点でも症状の疑いがある場合は早期検査をするべきです。また淋病に限らずどの性病にも言えることですが基本的に『自然治癒』はなく、症状が消えても病原菌は体内に残っていて、そのまま病気が進行していくことがあります。
その結果として「不妊症」や将来の暮らしに影響するような後遺症につながってしまうことがあります。「もしかして?」と思ったときに、「わざわざ病院にいくのも・・」「みられるのが恥ずかしい」と言わず、郵送検査も含め、様々な検査方法を選べる時代です。まずは『検査』をおすすめいたします。
引用元:厚生労働省 MSDマニュアル家庭版